わが国は、世界一の長寿国家としてWHOにも認定される誇るべき国家ですが、近年急速に少子・高齢社会に移行しつつあります。社会構造が変化する中で、医療費をはじめとして,在宅ケア,小児の健全な育成などの問題が深刻化しています。特に、ドイツに次いで世界で2番目に開始が計画されている介護保険の運用については種々論議されていますが、大きな医療制度の改革が進展しつつあります。
医療と福祉サービスにおいてその資源を効率よく活用し、保健サービスも含めたそれぞれの領域を,いかに包括的なシステムとして確立していくかが、問題を解決していく上で最も重要な事がらになります。看護職はこの変革において、オ-ケストラにおけるコンサートマスターのような役割を担うことを期待されているのではないでしょうか。
高度医療ならびに高齢化に伴う医療施設の増加から看護職の人員不足が大きな社会的関心を呼びましたが、数だけでなく質の高い看護サ-ビスを提供できる人材が求められています。最近話題となっている医療過誤をなくす上でも、自己の職能に自信と誇りを持ち、常に専門職として自己研鑽し、他の専門家から熱い信頼が寄せられるように努力することが今まで以上に必要となってきました。
これらの活動の一環として、多くの看護系の研究会や学会が設立されて看護職の専門性の確立という視点から活発に活動が展開されてきています。しかしながら,他の保健・医療・福祉の専門家と同じ立場で連携して問題を取り上げていくような学会活動は少なく,広い視野で看護職の専門性を再構築していくことが急務と考えられます。
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