●●●●●歴代理事長挨拶●●●●●
●初代理事長:1期、2期
  • 理事長のご挨拶
    「21世紀に向けての船出」
    Departure of the Japan Society of Nursing and Health Care into the 21st Century

    初代日本看護医療学会理事長

    石黒 彩子

    Ayako Ishiguro

    名古屋大学名誉教授

    現;中部大学生命健康科学部
    保健看護学科教授

  •  わが国は、世界一の長寿国家としてWHOにも認定される誇るべき国家ですが、近年急速に少子・高齢社会に移行しつつあります。社会構造が変化する中で、医療費をはじめとして,在宅ケア,小児の健全な育成などの問題が深刻化しています。特に、ドイツに次いで世界で2番目に開始が計画されている介護保険の運用については種々論議されていますが、大きな医療制度の改革が進展しつつあります。

     医療と福祉サービスにおいてその資源を効率よく活用し、保健サービスも含めたそれぞれの領域を,いかに包括的なシステムとして確立していくかが、問題を解決していく上で最も重要な事がらになります。看護職はこの変革において、オ-ケストラにおけるコンサートマスターのような役割を担うことを期待されているのではないでしょうか。

     高度医療ならびに高齢化に伴う医療施設の増加から看護職の人員不足が大きな社会的関心を呼びましたが、数だけでなく質の高い看護サ-ビスを提供できる人材が求められています。最近話題となっている医療過誤をなくす上でも、自己の職能に自信と誇りを持ち、常に専門職として自己研鑽し、他の専門家から熱い信頼が寄せられるように努力することが今まで以上に必要となってきました。

     これらの活動の一環として、多くの看護系の研究会や学会が設立されて看護職の専門性の確立という視点から活発に活動が展開されてきています。しかしながら,他の保健・医療・福祉の専門家と同じ立場で連携して問題を取り上げていくような学会活動は少なく,広い視野で看護職の専門性を再構築していくことが急務と考えられます。

     全国の各都道府県に、一校以上の看護系大学が設立されてきていますが、大学卒の看護職が十分に力を発揮できるような医療・福祉現場の体制も、まだ未整備な状況にあるといえましょう。また、これからの社会保障制度改革の中で有能な人材をどのようにして教育し、他領域の専門家との協調体制の確立や臨床現場の研修・教育ならびに研究体制を強化していくかなど、看護系大学に課せられた課題も山積しています。

     このような現状認識に立ち、日本看護医療学会は、看護学及び関連するすべての学問分野が結集して相互の知識を体系化し、国民が安心して利用できる包括ケアシステムの確立と健康増進に寄与することを目的として設立されました。

     来るべき21世紀に向けて船出した日本看護医療学会が、荒波にもまれながら学際的に包括ケアやチームケアのあり方について研究し、お互いの理解を深めて学びあう場として発展することを願ってやみません。学会雑誌には、健康問題に関わるすべての専門職の方々からのご投稿をお待ちしています。